思考プロセスにおいて、重要な概念に「拡散」と「収束」があります。
「拡散」とは、解決に至るための様々なアイデアを生み出し、可能性を広げるための考え方です。その広げた可能性に対して、実行性のある答えを導くために、ものごとをまとめあげる考え方が「収束」です。
収束は、いわゆる「ロジカルシンキング」という思考方法を使い、論理的にまとめ上げます。
拡散は、様々なアイデアを生み出すことが目的です。この拡散において、有力な考え方が「クリエイティブシンキング」と言われています。
デザイン活動やプロモーションを実施するケースにおいて、規定(既存)のプロセスのままでは、よりインパクトを与えるような、人の印象・心に残るものを生み出し、提供し続けることは困難です。
そうした状況において、新しい考え方を生み出すために、デザイン活動のプロセスでは、クリエイティブな考え方を実践するための有効なノウハウが多く詰め込まれています。
こうしたデザイン活動のプロセスを学ぶことで、クリエイティブシンキングの効果的な手法を学ぶことができます。
デザインとは「表現力」を駆使して、ビジョンをカタチにすることです。デザイン活動の重要なポイントは次の3点にあります。
上記ポイントを効果的に実践するノウハウ=クリエイティブシンキングスキルという考え方です。
デザインにおいてもその他の活動においても、新しいソリューション(解決方法)を生み出すためには、ソリューションのタネとなる「問題」を正しく捉えることが重要です。
なぜなら、問題に対して、間違えた捉え方をした場合、まったく意味のない解決策を適用しかねないからです。
問題を正しく捉えるためには、ものごとの「本質」を掴むことがポイントになります。問題の本質を捉え、問題に対して効果的なソリューションを生み出すためのクリエイティブシンキングスキルを以下にまとめます。
1. 思考や気持ちを書き出す
自分の思考や気持ちを書き出すことは、創造性の枠を広げることにおいて大変重要です。考えていることを文字にして書き出すことは、抽象的な概念を整理し、論理的に組み立てるために役立ち、思考や気持ちの本質が見出せるようになります。
2. 別のあるものに例えてみる
ものごとを別のものに例えることで、対象の本質を浮き彫りにすることができます。比喩によって、ものごとの共通項が導き出され、本質を理解することができます。こうした例えや比喩を常に意識することで、本質を掴みやすくなります。
3. ビジュアルで表現してみる
ビジュアル(図解、イラスト)が相手に伝わりやすいのは、ものごとの本質を捉えているからです。ビジュアルで表現することで、言葉よりも伝えたいイメージは的確かつスピーディに伝わります。ビジュアル化しにくいことは、本質がブレている、もしくは見えていないときです。
4. コミニュケーションで仮説をぶつける
相手(お客様)が抱える言葉にならない思いや問題を拾い上げ、相手の頭の中にある考えを引き出すには、仮説をぶつけることが重要です。「〇〇を目指しているんですね?」「強調したいことは〇〇ですね?」という形で、言葉にして聞き出します。こうして、互いに持つイメージを近づけ、問題の本質を正しく認識するのです。
5. 前提を疑ってみる
暗黙の了解となっていることや、業界で長く続く慣習や前提となっていることを一旦抜きにして、「そもそもこれでいいのか?」と問いかけ、多角的な視点で物事を観察し、良し悪しを分析してみることが重要です。思考なしに受け入れるのではなく、良し悪しをしっかり分析することで、新しい枠組みを生み出すきっかけになります。
こうした行動を実践することで、問題の「本質」が掴みやすくなります。
問題の本質を理解した上で、その問題を自分事として捉え、頭の中に刷り込み、自分の日常の行動を分析し、「どんなタイミングで何をしているか?どうすることが多いか?」といったことを意識します。こうした過程を経て、新しいアイデアのヒントを掴むことで、クリエイティブな発想につなげていきやすくなります。