デザイン思考を学ぶ

このWebサイトを作る際に、デザインを含むあらゆる「設計」に関わるノウハウやプラクティスを、もっと考え、学べる場にしたいなと考えて、なんとなく、「Design Thinking」なる言葉を選びました。

しかし、この言葉、すでに広く知られた用語として存在するようで、わたし自身、大変興味のある内容でしたので、今回は「デザイン思考(Design Thinking)」について、取り上げたいと思います。

 

| デザイン思考とは何か?

デザイン思考とは、本質的なユーザニーズや問題を抽出し、その問題を解決するために、ユーザとの対話、そして、プロトタイプ(試作)を作り、評価することを繰り返す「問題解決手法」のことです。

そして、この手法に「デザイン」と付くのは、デザイン思考で実践されるプロセス(行動)が、「デザイナーがプロダクトを生み出す過程で実践すること」と、ほぼ同じであることから、このように呼ばれているようです。

デザイナーというのは、「表現力によって、商品のプロモーションやブランディングを行い、その価値を生み出す仕事」です。その仕事の中では、ユーザが抱える悩みや、潜在ニーズを引き出し、ニーズを満たすための効果的なデザインを考え、実際に表現する、…といったプロセスを踏みます。

こうした考え方や問題解決手法のことを「デザイン思考」と呼ぶようになりました。

 

| デザイン思考に見られる特徴

デザイナーは、その仕事内容から従来の問題解決手法では解決できないような種々の問題に直面します。そうした問題を解決するために、ユーザと共感し、対話し、いくつものプロトタイプを作成し、案出しを繰り返します。

このプロセスは、革新的なプロダクトを生み出す上では、有効な手法だとして、Apple、Google、トヨタ、任天堂などの名立たる企業からも非常に注目されている考え方のようです。
(Apple社iPodの開発では、デザイン思考が取り入れられていたようです)

では、いったい、このプロセスにおいて何が有効なのか?デザイン思考の特徴は以下にあると思います。

⚫ ユーザの徹底的な潜在ニーズ分析からのコンセプト(観点)創出
※ ユーザに向き合い、共感し、その問題、潜在ニーズを抽出すること

⚫ できるだけ早く可視化する(カタチに落とし込み、理解を促進する)
※ 早期にプロトタイプを作り、解決イメージを確認する

⚫ プロトタイプによる早い失敗と改善(失敗から学び、改善する)
※ ミニマムから始め、ブラッシュアップ(施行錯誤する)

こうした特徴を踏まえたキーワードは「共感」と「プロトタイプ」にあるのではないでしょうか。

 

| デザイン思考の効果と評価

こうしたデザイン思考を実践することで、次のような効果が得られるといいます。

⚫ 製品や作品をスピーディに生み出すことができ、コストも抑えやすい
完璧な製品を一度に作るより、認識齟齬が早期に検知、検証し易いから

⚫ 良いアイデアが生まれやすい
ユーザに共感し、本質的ニーズを抽出、プロトタイプを評価できるから

⚫ 強いチームとイノベーションを生み出す環境を構築しやすい
⇒ チームが同じ目線を向き、様々なアイデアを試作しながら共創するから

デザイン思考によるこうした効果は、ものづくりの用途だけではなく、「新事業の展開」「組織の改革」「コミニュケーション問題」などを考える場合の方法論としても、役立てることが可能だと思います。

デザイン思考が適用できているかどうかは、次のような尺度で測ることが
できると言います。

⭐ユーザーと対話し、問題や潜在ニーズが抽出できているか?

⭐プロトタイプを作り、問題が解決できるか検証しているか?

 

| デザイン思考の5ステップ

デザイン思考を学べるスタンフォード大学の「d.school」では、「デザイン思考の5ステップ」といったものが提唱されています。

※「d.shool」は、SAPの共同創業者「ハッソ・プラットナー氏」や、 IDEOの創業者「デビッド・ケリー氏」が私財を投じて開設したそうです。

⭐デザイン思考の5ステップ

1.共感(ユーザの行動を理解、寄り添い、問題を発見する)
既存の製品やものを、ユーザがどのように使っているかを分析する。
ユーザ目線に立ち、どのように不満を持っているかを調べる。

2.問題定義(何がニーズ、何が課題かを明確化する)
捉えた要求・ニーズから問題を定義し、課題を設定する。
ここでは、本質的な問題を捉え、焦点を絞り込む。

3.概念化・創造(仮説を立て、新しい解決方法のアイデアを考える)
前段階までに定義した問題の解決策を考え、アイデアを抽出する。
質より量で、ブレーンストーミングなどでどんどんアイデアを出す。

4.プロトタイプ(問題に取り組み、カタチにしてみる)
抽出した有望なアイデアを、プロトタイプとしてカタチにする。
とにかく可視化して、想定・想像だけではわからなかったことを発見する。

5.テスト(プロトタイプ検証し、よりニーズに合うように改善する)
プロトタイプを確認し、ユーザニーズを満たせているかを検証する。早い段階で失敗することで、質の高いフィードバックを得て、さらに改善する。

こうした「5ステップ」を包括的に繰り返し、ユーザと対話しながら問題を解決していくことが、デザイン思考の考え方、そしてプロセスになります。

 

| デザイン思考を通して思うこと

私は、ソフトウェアを開発するとき、ユーザの要求を確認、質問しながら、「やりたいこと」「欲しい機能」をメモし、要求を実現するための簡易なプロトタイプ(試作)を作り、機能のイメージを確認しながら、開発を進めるようにしています。

プロジェクトの開発プロセスとして、ウォーターフォールを適用していたとしても、要求分析や外部設計(方式設計)を実施している段階で、こうしたプロトタイプを作成し、その機能性や操作性、性能ボトルネックについて、ある程度、確認します。

そうすることで、次のような効果があると考えています。

⚫ 本当にユーザが必要としている機能や操作性の確認が取りやすい

⚫ 具体的な問題点が、開発側とユーザ側で共有しやすい(誤解が減る)

⚫ 開発側が詳しくないドメイン(問題領域)に対する理解が深まりやすい

 

デザイン思考のようなアプローチを、ソフトウェア開発に適用することは、開発プロセスの最初から最後まで、机上で想像しながら作業を進めていくよりも、より効率的で生産的な効果を生み出すのではないかと思います。

デザイン思考について、まだまだ理解しきれてはいませんが、考え方を吸収し、プロセス改善のひとつとして、取り組んでみるのも良いかと思います。

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